大雪と熱波?インド・カシミール地方で何が起きてるのか?
2025年5月、カシミールを襲った異例の晩春大雪:その影響と現地の声
「その朝、カシミール高原に吹雪が舞った。暖かくなるはずの季節は、白い沈黙に包まれた。」

カシミールの美しい高原地帯は、通常5月下旬には新緑が芽吹き、穏やかな気候に包まれるはずでした。
しかし、2025年のこの時期は、記録的な大雪と厳しい寒波に見舞われ、地元住民や観光客に大きな影響を与えました。
この異常気象は、カシミールが直面している気候変動の複雑さを物語っていると思います。
異例の晩春大雪:何が起こったのか
Kashmir Observer紙によると、2025年5月下旬、カシミールの高地帯、特にマルガン、ワルワン、グレズ、ピール・キ・ガリ、アハルバル上部の斜面などで、季節外れの大雪が降り積もりました。
この時期にこれほどの雪が降ることは稀で、通常であれば夏期放牧のために移動を開始する牧畜民にとっては、まさに悪夢のような状況でした。
記事によると、トウモロコシ畑は芽吹く直前に雪に埋もれ、羊やヤギは凍死し、テントは引き裂かれました。クリティカルなのは**「タイミング」**です。カシミールの山岳地帯では冬の厳しさは予想できますが、この「間違った季節の冬」は、彼らの生活のリズムを完全に狂わせました。
「私たちは群れを連れて山を登っていました。すると雪が降り始めたのです。止まるだろうと思いましたが、止まりませんでした。一晩で子羊を10頭も失いました」と、クルガム出身のグジャール族の牧畜民、バシール・アフマド氏は語っています。
地域社会への壊滅的な影響
この大雪と寒波は、特に高地に暮らす人々や季節移動を行う牧畜民に多大な影響を与えました。
- 家畜への打撃: 記事にあるように、子羊が低体温症で死亡するなど、多くの家畜が命を落としました。これは牧畜民にとって、収入源の喪失に直結する壊滅的な被害です。
- 農業への深刻な被害: 5月は作物の成長にとって重要な時期ですが、突然の雪と霜は、収穫を期待していた農作物に深刻な被害をもたらしました。
- 交通の麻痺: ピール・キ・ガリでの降雪により、ムガル・ロードが閉鎖されるなど、交通網が麻痺し、物資の輸送や移動が困難になりました。
- 救援活動の遅延: 政府による被害報告や救援物資の配布が遅れている地域もあり、高地の住民は孤立無援の状況に置かれました。
あるマルクス主義指導者は、即座の救援と現地調査だけでなく、「あらゆる方面から圧力を受けている生活様式への敬意」を求めていると記事は伝えています。
これは、気候変動が、単なる自然現象だけでなく、人々の伝統的な生活様式や文化にも深く影響を与えていることを示唆しています。
一方、カシミール・アヘッドの記事によると熱波に見舞われる地方も
2025年5月、カシミールは記録破りの熱波に見舞われる
2025年5月24日、シュリーナガル発 – 涼しい夏で知られるカシミール渓谷は、前例のない熱波に見舞われ、数十年前の記録を塗り替えています。
インド気象局によると、シュリーナガルでは5月22日に34.4℃を記録し、5月としては過去133年間で3番目に高い気温となりました。
地球温暖化によって引き起こされたこの異常気象は、健康リスクや環境変動への懸念を引き起こしています。
↑とあるようになんか無茶苦茶ですな。
現地の声:異例の熱波に戸惑いと不安
少し調べてみました。
2025年5月下旬のカシミールは、通常であれば過ごしやすい気候の時期です。
しかし、この年は異例の熱波に見舞われ、気温は平年を大幅に上回り、30度台半ばに達する地域もありました。これは過去数十年で稀に見る暑さで、地元住民は大きな困惑と不安を抱えています。
地元の住民からは、次のような声が聞かれました。
- 「こんなに暑い5月は、これまで経験したことがない。雨が降るはずなのに、全く降らず、暑さが続いていて本当に大変だ。」
- 「特に水の供給が滞っている地域では、住民は深刻な困難に直面している。夏に水は不可欠なのに、その不足が大きな苦痛となっている。」
- 「以前は観光が安定した収入源で、生活も安定していた。しかし、観光客が激減し、経済的な打撃は明らかで、人々は生活に苦しんでいる。」
- 「学校は生徒を熱波から守るため、時間割を調整している。良い対策だが、もっと政府が住民を守るための強力な措置を講じるべきだ。」
- 「日中の最も暑い時間帯の外出は避けるようにしている。熱中症のリスクが高いからだ。」
この異常な熱波は、人々の日常生活を混乱させ、学校の時間変更や職場での生産性低下にもつながっています。
特に、日雇い労働者や小規模事業者、農家の人々は、営業停止やインフラの損傷により大きな打撃を受けており、その回復に苦慮しているようです。
カシミールの地形的特徴と気象への影響

1:高峻な山々に囲まれた渓谷と高原
カシミール地方は、ヒマラヤ山脈の西部に位置し、標高の高い山々に四方を囲まれています。
特に、南はピルパンジャル山脈、北はヒマラヤ本山脈に挟まれており、中央に肥沃なカシミール渓谷が広がっています。
大雪の要因
これらの高峻な山々は、冬の間、シベリアや中央アジアからの冷たい空気をブロックすると同時に、インド洋からの湿った空気(モンスーンの延長や冬季の偏西風ジェット気流に伴うもの)が山にぶつかって上昇し、雪を降らせる効果(地形性降雪)をもたらします。これにより、特に高地では大量の雪が降ります。しかし、Kashmir Observerが報じたように、5月下旬という「季節外れ」の大雪は、気候変動による気象パターンの異常を示唆しています。
熱波の要因
逆に、夏になると、これらの山々は谷を「閉じ込める」ような形になり、熱気が谷底にこもりやすくなります。周囲の山々が高温の空気をブロックし、風通しが悪くなることで、盆地効果のように気温が上昇しやすくなります。熱波時には、特に日中の日射によって谷底の空気が効率的に加熱され、それが逃げ場を失うことで異常な高温に達する可能性があります。
カシミールの特徴として標高差が大きいなどの、地形的な要因があると思いますが、地球の気候がここまで変化してきてるということがわかりますよね。
南ヨーロッパでも6月から熱波に見舞われてるようですが、気候変動はますます加速していくのではないかと思ってます。
A view of Dal Lake in winter, and the beautiful mountain range in the background in the city of Srinagar, Kashmir, India.「地上の楽園」といわれるカシミールの美しさ。
政治的な複雑さや気候変動で壊れていくとしたら?
気候の揺らぎは、私たちの日常に静かに忍び寄っていると思います。
自然と再び語り合う力を持つ農や暮らし——それが、今求められている気がします。
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